こんにちわ！こつこつナースのこつナーです。
今回は私が救急外来において患者さんから情報収集、問診するにあたり有効な方法を紹介します。
この方法は外来でも病棟でもどの場面でも使えるものになりますのでよかったら活用してみてください。
・情報収集ツール「SAMPLE」
この方法は「SAMPLE（サンプル）」と呼ばれ、救急外来の場では有名かもしれません。
救急車に乗っている救急隊の人もこれを活用しているところもあります。
SAMPLEとは
S: Sign 主訴
A: Allergy アレルギー
M: Medication 内服歴
P: Past medical history 既往歴
L: Last Meat 最終食事
E: Event 出来事・現病歴
の頭文字をとったものになります。
それぞれ解説していきます。
S: Sign 主訴 （サイン）
患者さんの訴えになります。
「お腹が痛い」「呼吸が苦しい」「指を切った」
のように、いわゆる病院を受診に至った理由になります。
そして「お腹が痛い」ことを例に挙げると、
どこが痛いのか、どういうふうに痛いのか、いつから痛いのか、波はあるのかなどの痛みの性状も把握します。
つまり主訴の精度を高めるために情報収集するわけですね。
A: Allergy アレルギー （アレルギー）
患者さんのアレルギーの有無になります。
病院において患者のアレルギーの把握は重要です。
薬剤投与するにあたっていかにリスクを回避するためです。
薬剤や食べ物、金属やゴム製品などといったものがあるかないかを聞きます。
M: Medication 内服歴 （メディケーション）
患者さんの内服に関する情報になります。
薬の種類・用法・用量・処方元を把握します。
といっても患者さんに直接「なんの薬を飲んでいますか？」
と質問しても、
「いっぱい飲んでる」とか「血圧の薬」などのように詳細はわかりにくいと思います。
なので「なんの薬を飲んでいますか？」と聞くより、
「お薬手帳を持っていますか？」「薬の情報の紙は持っていますか？」
のように聞いた方が正確な情報が得られます。
P: Past medical history 既往歴 （パスト メディカル ヒストリー）
患者さんの既往歴です。
既往歴とは今でかかったことのある病気のことです。
治療中や完治した病気、骨折などのケガも含めます。
手術をした場合、どのような手術を行ったのかも確認します。
体内に人工物（ペースメーカー・人工関節・クリップなど）の有無も確認します。
必要に応じて治療を行ったクリニックや病院の名前も確認します。
L: Last Meat 最終食事 （ラスト ミール）
患者さんが受診する前に食べたものと時間のことです。
なんで食事？と思いますが、食事の情報は結構重要です。
例えば緊急手術が必要になった場合、最終飲食時間の把握は必須です。
他にも緊急内視鏡などの処置を行う際には胃内の内容物の有無で評価が変わります。
レントゲンやCTも同様です。
内臓内に食べ物が多いと検査結果に影響が出ます。
また、痩せていたり、栄養状態が悪そうな患者さんに対しては「いつから食事がとれていない」という情報は有益なものになります。
E: Event 出来事・現病歴 （イベント）
患者さんの主訴にまつわる出来事・現病歴についてです。
いわゆる受診に至ったエピソードになります。
例えば「頭が痛い」という人が受診にきました。
・仕事が忙しすぎてあまり眠れていなくて頭が痛くなった
・転んで頭をぶつけた
・なにもしていないのに急に頭が割れるように痛くなった
このようにエピソードが違えば緊急性も重症度も変わってきます。
なんなら診療科も変わりますので、このエピソードを把握しておくのも大事です。
実際の使い方
実際に私の問診の仕方をご紹介します。
私「今日はどうされましたか？」
患者「お腹痛くて・・・」
私「どのあたりが痛いですか」
患者「右側の上あたりが痛くて（右季肋部当たり）」
私「ずっと痛いですか、波はありますか？ご飯を食べた後くらいからです？」
患者「１８時に揚げ物を食べてからだね、それまでは痛くなかったんだけど今は重い感じでずっと痛い」
私「なにかアレルギーはありますか？」
患者「特にないかな」
私「今までの持病やかかりつけの病院はありますか？」
患者「血圧が高いのと、コレステロールが高いって言われてる、それくらいかな」
私「なにか薬は飲んでいますか？持っていたらお薬手帳をお借りしてもいいですか？」
お薬手帳をお預かりして一旦撤収
この関わりをSAMPLEに当てはめると、
S:右季肋部痛・持続痛・内臓痛
A: なし
M: お薬手帳あり
P: 高血圧・脂質異常症
L:本日１８時夕食 揚げ物摂取
E: 本日１８時夕食摂取後より右季肋部痛発症、自制できないため受診
のような形になります。
私も最初の頃は紙に書きだして情報を整理していました。
この情報から読み解くに、胆石や胆のう炎などの膵胆管系疾患が疑えるわけですね。
あくまで一例ですので、参考程度に。
おわりに
いかがだったでしょうか。
SAMPLEを基に情報収集を行うと、抜けなく情報を収集することができます。
しかしこれの欠点といいますか、身体的な情報がメインになってしまうのですね。
精神的・社会的な情報を収集するにはまた別に話を聞いていかないといけません。
なので身体的な情報収集ツールとして活用してみてください。
あなたの情報収集能力を一歩先へ
では今回は以上になります。
私のX（旧Twitter）のプロフィールのリンクを以下に貼ります。 よければフォロー、コメントをお願いします。
