こんにちわ! こつこつナースのこつナーです!
今回は救急外来における看護、救急における看護についてお話していこうと思います。
始める前に私の簡単なプロフィールから・・・
<こつナー>
東京の二次救急指定病院で 内科病棟・外科病棟・内視鏡センター・救急外来を経験
現在地方の二次救急指定病院に勤務 一般外来・内視鏡センター・救急外来に配属
看護師歴としては10年目
担当してきた部署では救急外来が歴が長い
現在配属していることもあり、救急について紹介していきます。
救急外来に初めて所属されたときは期待より不安と緊張が強く、たくさん参考書を読んだ覚えがあります。
その中でもこの本はわかりやすく解説されていたのでおすすめします。
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今回は少し長めですので、ぜひ最後までお付き合いよろしくお願いします!
1.救急とは?

そもそもの話、「救急」とはどういったことなのかから話していきます。
辞書で引くと、「急病・けが・事故などの急場の難儀をすくうこと。」となっています。
病院における救急とは、「急病・けが・事故などにあった患者を助ける」ことになります。
それが救急外来の役割になります。
ここで注意なのが、救急=すべてをもれなく助けるという認識ではないです。
一般外来を行っている時間帯では一般外来がメインで診療を行います。
救急は診療時間外だったり救急車を受け入れたりといったイレギュラーに対して対応をする場であり、あくまで一時的な対応や応急処置を行う場になります。
もちろん入院して治療が必要であった場合はそれに準じた対応を行います。
最終的には専門科に診てもらうように促します。
救急外来を担う病院には消防法に基づいて都道府県知事の認可が下りたうえで活動できます。
その要件とは、
1.救急医療について、相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
救急告示医療機関 – Wikipedia
2.エックス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
3.救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
4.救急医療を要する傷病者のための専用病床又は当該傷病者のために、優先的に使用される病床を有すること。
そのうえで病院は「救急告示・指定病院」として「救急をやっていますよ」看板を掲げることができます。
救急の告示・指定を受けた病院は、
・一次救急
・二次救急
・三次救急
と3つに分類されます。
・一次救急
診療所やクリニック規模
時間外診療を行っている比較的軽症患者を診る病院
・二次救急
入院施設のある中等症患者を中心に診る病院
病院の規模によっては手術やカテーテルといった処置が行える
・三次救急
入院施設のある重症患者を中心に診る病院
生命の危機に瀕した患者を受け入れ、高次の治療を行っていく
どの地域にもこれらの告示・指定を受けた病院はあります。
多いのは「二次救急」で、中規模の病院は告示・指定されています。
公式ではありませんが、二次救急でも生命の危機に瀕した重症患者を受け入れることもあり、「2.5次救急」とも言われることもあります。
ちなみ私は二次救急指定病院に勤務しており、「2.5次救急」とも救急隊からいわれています。
2.救急外来の業務
では実際の救急外来の業務はどのようなことを行っているのでしょうか。
先ほどお伝えした通り、「二次救急指定病院」の経験があるため、「二次救急」について語っていきます。
私のタイムスケジュールを紹介します。
・私の勤務内容(日勤)
08:00 出勤
↓ 物品の補充や設備の点検といった環境整備
08:30 部署ミーティング
↓
08:40 夜勤者からの引継ぎ・申し送り
↓ 救急患者
↓ 受け入れ・対応
12:00 昼休憩 1時間きっちりとります
↓
13:00 勤務再開
↓ 救急患者
↓ 受け入れ・対応
↓
16:45 夜勤者へ引継ぎ・申し送り
↓ 残りの時間で物品の補充や設備の点検
17:00 定時 帰宅
「救急患者受け入れ・対応」とはなんともざっくりとした表現ですが、このあと解説していきます。
看護師で病棟経験がある人からすると時間でやることはあまりないんですよね。
なぜなら救急患者は「いつくるかわからないから」です。
もちろん救急患者が来なければ「ヒマ」かもしれませんが、忙しくなる時は一瞬でお祭り騒ぎになり、先が見えなくなります。
忙しさで表現するなら、
病棟→一定の忙しさがある
救急外来→瞬発的な忙しさがある
ような形です。
救急外来ではその場で今すぐに判断しなくてはいけないことや、いつくるかわからない=常に備えていなくてはいけないという緊張感があるため、仕事が終わるとどっと疲れます。
3.救急外来における看護師の役割

今回の記事の本命をお話していきます。
救急外来における看護師の役割っていったいなに?ということです。
前述した救急指定病院には「1.救急医療について、相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。」が要件として挙がっています。
「医師が常時診療に従事している」ということなので、基本的には救急外来に医師は常在しています。
そのため、看護師はその医師と連携をとりながら救急患者の診療にあたるわけです。
救急外来の経験のないスタッフからよく言われるのですが、
「医師が常にいるなら楽じゃん」「指示された通りにすればいいんでしょ」
ええ、究極を言うならその通りです。
ですがそれは救急外来の経験のない戯言かと(イイスギ)。
救急外来の医師の役割はもちろん、救急患者の診療です。
救急外来での看護師の役割は、そのサポート、「診療の補助」にあたります。
ただそれだけではありません。
・救急患者のトリアージ
・救急外来のベッドコントロールとマネジメント
・救急患者の点滴、検査の実施
・救急患者の処置介助
・他職種部門との連携、調整
・救急患者とその家族のケア
これらの役割があるかと思います。
長くなると思いますが、1つずつ解説していきます。
1)救急患者のトリアージ
トリアージとは救急患者の治療の優先順位をつけることです。
飲食店などのように来た順に対応するわけにはいきません。
なぜなら救急患者の容体によっては迅速に医療の介入が必要になるからです。
例えば先に受付した救急患者が「指を切っちゃって・・・」と訴えました。
しかしそのあとに受付した救急患者は「胸が苦しい」と訴えました。
「胸が苦しい」=心筋梗塞などの疑いがあるため、「指を切った」救急患者より先に対応しなくては場合によっては生命の危機に陥る可能性があるからです。
もちろん検査の結果によっては「異常なし」になる場合もありますが、救急外来では
症状からあらゆる可能性、最悪のケースまで予測して行動しなくてはいけません。
基本的に救急外来はオーバートリアージで行動します。
オーバートリアージとは想定より高めに見積もって判断することです。
逆に低く見積もることをロートリアージともいいます。
「指を切った」といういわゆる軽症の救急患者に対してないがしろにしているわけではありません。きちんと状況を説明し、少しお待たせするかもしれないことを伝え、きちんとケアをしなくてはなりません。
トリアージに関してはまたどこかでお話させていただくと思いますが、救急患者に最初に接触した時、ファーストインプレッションが重要となります。
2)救急外来のベッドコントロールとマネジメント
救急外来で診察を行うスペースは有限です。
所かまわず来た救急患者からスペースを埋めていくのはナンセンスです。
なぜなら急変の可能性が高い重症患者を目の届きにくいところに配置するのはかなりリスキーです。
基本的には重症患者を目の届きやすいところへ、軽症患者を少し離れたところで待機させます。
このコントロールとマネジメントも看護師の役割となり、診療を円滑に行えるようにします。
3)救急患者の点滴、検査の実施
救急外来に来た患者に対し、ほぼ全例に点滴を行います。
もちろんこれは医師の指示の下行いますが、医師はカルテやオーダーの入力、診察に手をとられてしまうため、看護師が点滴を行うことが多いです。
その点滴は基本的に生理食塩水といった細胞外液になりますが、ただ水分補給が目的ではありません。
患者の症状や診断によってすぐに薬剤を投与できるように血管を確保するのが目的です。
また検査の実施については症状に応じて医師が検査を組みます。
例えば発熱の患者→採血・尿検査・抗原検査
胸が苦しい患者→心電図
転んで痛い患者→レントゲン
内臓に病変があるかもしれない患者→CT など
症状によっては
吐血・下血→内視鏡
片麻痺・意識障害→MRI
発熱・意識障害→腰椎穿刺(ルンバール) など
医師が診断、治療を行うためにも症状に応じた検査を組みます。
組んだ検査を行えるように調整・実施するのが看護師になります。
内視鏡や腰椎穿刺など一部の検査は医師が行いますが、それらの準備から患者のケア、片付けまで看護師の役目になります。
患者が円滑に、かつ安全安楽に検査を受けれるように我々看護師が調整していきます。
4)救急患者の処置介助
処置となると救急外来では多岐にわたります。
挫傷などの傷の縫合、内視鏡や腰椎穿刺の検査、治療のために中心静脈カテーテル(CV)の留置、胸腔ドレーンの挿入などたくさんあります。
基本的に処置は医師が行いますが、ここでの看護師の役割が準備から片付け、そして患者が安全安楽に受けれるようにケアをしていきます。
看護師は「この患者さんに対して○○の処置をするだろうな」と予測してすぐに医師が処置に入れるように物品の準備や環境を整えていく必要があります。
また、処置を行う医師は処置だけに集中しがちです。
そこで看護師は処置をしている間は患者の状態を観察していく必要があります。
処置を受けている間に急変するリスクもありますので、適宜状態が変化したりしそうになったら医師へ報告をしていきます。
5)他職種部門との連携、調整
救急外来では他の職種と関わることが多いです。
医師をはじめ、放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・医事など、そして同じ看護師です。
検査や治療には欠かせない他職種のスタッフと連携をとらなければ円滑に診療が行えません。
そこで看護師が連絡を取り合ったり、医師とのリエゾン(橋渡し役)になる必要があります。
また、同じ看護師と連携をとるというのは、同じ救急外来内で勤務するのはもちろんですが、救急患者が入院となった場合、病棟の看護師と連携をとる必要があります。
入院ベッドを確保したり、病棟へ申し送りをしたりして調整を行っていきます。
6)救急患者とその家族のケア
上記全ての役割はどれも大事ですが、これが特に重要かと思います。
我々は「看護」師ですので、身体的・精神的・社会的なケアが一番大事な役割になると考えています。
悪いわけではありませんが、救急外来に身を置いているとどうしても病気を重点にみがちです。
つまり看護師が「医者もどき」になってしまい、ケアを自分の役割から外してしまいます。
それでは本末転倒になります。
救急外来におけるケアとは、患者、そしてその家族に対してになります。
そもそも患者家族が救急車を呼ぶ事態ということは、自分の人生の中で未経験・未体験なことが起きてしまっている状況になります。(人によってはそうではない人もいますが・・・)
患者家族は病院に受診するまでの間、不安の渦中にいます。
来院されたらその不安を解消できるように我々看護師がケアをしていく必要があります。
不安を解消させるためのケアとは、
・きちんと説明をする
これからどんなことが起こるのか、どんな処置・検査をやっていくのか、どれくらい時間がかかるのか、自分はどうなっているのかをきちんと説明します。
自分の置かれている状況を把握できれば今後の動きをイメージすることができ、不安の解消とともにクレームの軽減にもつながります。
・可能な限り話を最後まで聞く
多忙な救急外来の場でなかなか話を全て聞くことは難しいかもしれません。もし少しでも時間がとれるなら実践してみると、一通り話を聞くと相手は満足して不安の軽減につながります。大抵、5分程度も傾聴すると相手も話すことがなくなり、ある程度の満足感を得ることになります。
・笑顔でいること
救急外来は瞬間的な忙しさがあるとお伝えしました。そんな中ではなかなか表情もこわばり患者家族からいい印象を与えないと思います。忙しい中でも笑顔でいることで患者家族は安心を与えることに繋がります。人間にはミラーニューロンというものがあり、ミラーニューロンとは相手の表情や行動をマネするための機能があります(いわば本能的なものです)。関わる看護師が笑顔でいれば、患者家族も笑顔を誘導することができます。安心を与えられたなら患者の苦痛の閾値を上げることができるので、ちゃんと根拠のあるものになります。
経験上、この3つを実践できれば相手の不安は解消に導けるかと思います。
4.おわりに
いかがだったでしょうか?
今回のお話は結構長くなってしまいましたが、まだまだ語り足りないと感じています。
今後も救急看護についてお話をしていこうかと思いますので、楽しみにしていただけたらと思います。
救急外来や看護にまつわるお話をSNSでも紹介していこうと思いますので是非フォロー、コメントよろしくお願いします。
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