【○○を疑え】頭痛【症状から読み解く】

看護

こんにちわ!こつこつナースのこつナーです!

今回からシリーズものを公開していこうかと思います。

「症状から読み解く」

現在私は救急外来で働いており、たくさんの症状と関わります。

常に最悪を想定して動くので、この症状からなにが考えられるのか、どういった経過を辿るのか予測しながら仕事をしています。

ひとつの症状からなにが読み取れるのか、今回は「頭痛」をテーマに看護師の視点から紹介していきたいと思います。

キーワードは「頭痛をみたら、くも膜下出血を疑え!」です。

頭痛とは

頭痛とは頭が痛いことです。
原因としては
・一次性頭痛
・二次性頭痛
が挙げられます。

頭痛は軽症から重症まで病気が隠れていることがあり、特に病気に伴うものであれば一気に重症化するリスクがあります。

それぞれで看護のポイントを紹介していきます。

一次性頭痛

一次性頭痛とは「頭痛そのものが原因のもの」
分類していくと、

・緊張型頭痛

緊張型頭痛とは、筋肉の緊張が強くて頭痛が生じるものです。
いわゆる肩こりなどが強いとそれに付随している頭の筋肉まで緊張してきて発症します。
常に力が入るような、強いストレスにさらされると発症することもあります。
他にもずっとスマホをいじって姿勢が悪かったりすることも原因となります。

性状としては「ズキンズキン」のような痛みとなります。
嘔気や光刺激による変化はないとされています。

★看護のポイント
比較的軽症であり、鎮痛薬や筋緊張の緩和(マッサージやゆっくり入浴)などで解消すると考えられます。
疲労やストレスをためないように休養を促します。
・片頭痛

片頭痛は遺伝的要因やストレスなどで発症します。
よく「私片頭痛持ちなのよね」ということはあながち間違いではありません。

そしてトリガーと呼ばれるものがあります。
それは主にカフェイン・アルコールですね。
チョコレートやコーヒーなどを摂取した際に引き起こされる可能性があります。

性状としては
「拍動性」心臓の鼓動に合わせて痛い
「片側性」右か左か、どちらか側だけ痛い(稀に両側性もある)
「嘔気」頭痛が強すぎて吐き気を催す
「光・音刺激に過敏」強い光に当たることで発症、増悪する

★看護のポイント
基本的には鎮痛薬でコントロールとなります。
緊張性頭痛と同じように疲労やストレスをためないように休養を促し、
トリガーとなるカフェイン・アルコール類の摂取を控えるように生活指導を行います。
また、光・音刺激に過敏になるので、暗室やアイマスク、耳栓などを用いるのもいいでしょう。
・群発頭痛

原因不明の突発的な頭痛、脳の一部が痛みに関与しているとも言われている

性状としては
「激しい頭痛」
「眼の奥を刺すかのような、眼の周囲の痛み」
「短時間15分~3時間程度」
「周期性 1日に数回 数週間続くことがある」

★看護のポイント
「周期性」なので繰り返します。
なので群発頭痛が起こる、いわゆる発作を抑え込むことが大事です。
片頭痛と同じようにトリガーがあります。
アルコールや喫煙を避け、睡眠をきちんととることが大事です。
また、スマトリプタンやゾルミトリプタンといった薬が有効ですが、ロキソニンなどのNSIADsは効き目が薄いといわれています。
発作予防にベラパミルやステロイドを使ったりします。

二次性頭痛

二次性頭痛とは「病気が原因となっているもの」
分類していくと、

・脳血管疾患

脳血管疾患は脳血管が原因で引き起こされるものです。
有名なのが「脳卒中」となります。
脳卒中は「脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」の3種類の疾患の総称となります。

・脳出血
脳出血とは、脳の実質に起こる出血です。
高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙などがリスク因子となります。

症状としては
片側の頭痛、嘔吐、片麻痺、呂律障害、流涎(よだれが垂れること)、共同偏視、瞳孔不同、意識障害などがあります。

基本的には片側の頭痛が生じることがありますが、出血範囲が広いと意識障害を呈して頭痛どころではなくなります。
前駆症状として頭痛が生じたのち、意識障害や片麻痺が出現した場合は注意しましょう。

脳出血で特に多い部位は「被殻」と呼ばれるところです。
この周囲に運動神経の通り道があるので、片麻痺・呂律障害といった運動障害が出現しやすいので、頭痛とともに運動障害が合併した場合は脳出血を疑いましょう。

治療としては
保存的治療:拡大しないようにみながら脳の出血が吸収されるのを待つ
手術:出血した血だまり、血腫を除去 基本的に生命活動を保たさせるために行う
※良くなるために実施するわけではない
リハビリ:急性期を脱したのち、回復期に移行したら失われた機能を取り戻すために行う
※脳細胞の損傷は不可逆的なので良くなるのもある程度限界がある

★看護のポイント
脳出血はCT検査にて診断します。

検査の結果、脳出血の診断となったら・・・
ベッドアップ15~30度のセミファウラー位に姿勢を整える
 頭をあげることで脳への血液還流量を低下させ、出血の拡大を予防します。
 すぐできる対応なのでやっておいて損はないです。
・出血範囲が大きい場合、脳ヘルニアによる呼吸抑制を起こす可能性あり
 状況によってはすぐに挿管できるような準備をしておく。
・血圧コントロールができてから更衣など身体を動かす。
~下記は薬剤の使用についてなので医師の指示の下実施~
血圧コントロール 収縮期血圧140以下を目標に降圧します。
 脳出血の場合、高血圧(180/100mmHgくらい)になっている場合が多いです。
 ニカルジピンなどを持続投与し、血圧を下げましょう
嘔吐に対して制吐剤(メトクロプラミドなど)の使用を検討
頭蓋内圧亢進を考慮しグリセリンの使用を検討
 グリセリンを投与する場合、尿量がかなり多くなるので膀胱留置カテーテルを入れておく
脳保護のためにエダラボンの使用を検討

・脳梗塞
脳梗塞とは、脳の血管の一部が血栓などで詰まることです。
高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動・喫煙などがリスク因子となります。
脳梗塞の中でも「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳梗塞」があります。
イメージとしては、
 ラクナ梗塞→末梢血管の細いとこに梗塞が生じている
 アテローム血栓性脳梗塞→中枢側の太い血管に動脈硬化などで梗塞が生じている
 心原性脳梗塞→心房細動などで生じた血栓が、更に中枢側の太い血管を塞栓して梗塞が生じる
ですので、アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳梗塞の方が症状が顕著に出て重症化しやすいです。

症状としては
片側の頭痛、嘔吐、片麻痺、呂律障害、流涎、意識障害、共同偏視、瞳孔不同、意識障害などがあります。

基本的には片麻痺や呂律障害、流涎が出現して「おかしいな」と思って病院へ受診に来られます。
もしくは意識障害が出現して救急車にて来院されることが多いです。

脳梗塞で多い部位は「放線冠」と呼ばれるところです。
ここも運動神経の通り道になるので、ここが障害されると片麻痺や呂律障害などの運動障害が出現します。
脳梗塞自体、頭痛が生じるのは珍しいですが、運動障害が出現している場合は注意しましょう。

治療としては
保存的治療:悪化しないように経過を見て、再発予防のため薬を使用する
カテーテル治療:超急性期の脳梗塞であれば「血栓回収」というカテーテル治療が適応となる
t-PA療法:血栓を溶解させて血流を再開させる強力な薬
 カテーテル治療と同じように超急性期の脳梗塞のみ適応である
リハビリ:脳出血と同様

★看護のポイント
脳梗塞において一番大事なのは「発症した時間」です。
いつから症状があったのが本人もしくは付き添いの人に確認をします。
発症から4.5時間以内(甘く見積もって6時間以内)であればカテーテル治療やt-PA治療が適応となる場合があります。
これを行う、行わないで予後が全然違います。
脳梗塞はCTまたはMRIで診断します。
基本的にCTでは脳梗塞はわかりませんが、同じような症状の脳出血の否定のためにも行います。
CTで所見なし→MRIを行い、診断をします。
MRIが行えない場合は、脳動脈造影CTで診断します。
(ペースメーカーが入ってる人など)

脳梗塞の診断となったら・・・
・脳出血とは逆で血圧は下げない!
 閉塞部位より末梢側へ側副血行路がある可能性があるため、血圧を下げることによりその血流を途絶えさせてしまう。
・超急性期であればMRI検査後に体重測定
 t-PA療法は体重で投与量が決まる 体重の測れるストレッチャーを用意しておく
・NIHSSを確認する
・t-PA療法を行う場合は点滴ルート2本目確保、膀胱留置カテーテルもいれておく
 治療が開始されたら易出血状態になるので出血リスクを伴うものはあらかじめやっておく
・超急性期でなければ基本的にDPAT(抗血小板薬2剤併用)で治療と再発予防
 内服ができそうにない場合は胃管をいれてまでも行う場合もある
・血栓回収+t-PA療法を同時に行うこともある

くも膜下出血
くも膜下出血とは、その名の通り「くも膜下」に生じた「出血」です。
頭を輪切りにして、外側から、
頭皮(皮膚)→骨(頭蓋骨)→硬膜→くも膜→軟膜→脳
という順に組織があります。
このくも膜ー軟膜の間に生じた出血のことを「くも膜下出血」と呼びます。

原因は主に脳動脈瘤の破裂や脳血管系の奇形となります。
高血圧・喫煙がリスク因子となります。
そして予後不良のケースが多いです。

症状としては
今までに経験したことのない頭痛(ハンマーで殴られたかのような)
嘔吐・意識障害など
予兆もなくいきなり発症するのが特徴です。

治療としては
手術:脳動脈瘤をクリッピングまたはコイル塞栓を行うような処置をする
 頭蓋内圧が亢進している状況であれば脳室ドレナージも行う
保存的治療:こちらは基本的にお看取りの可能性が高い

★看護のポイント
激しい頭痛を訴えたらまずくも膜下出血と疑います。
くも膜下出血はCTで診断します。
診断後、脳動脈瘤があるかどうかを確認するため、脳動脈造影CTが追加になることがあります。
なので点滴ルート確保する際は造影用ルートを用意しておきましょう。

くも膜下出血と診断されたら・・・  (脳出血の対応と似ています)
・アイマスクや室内の光量を落として光刺激を最小限にし、安静にさせる
 くも膜下出血の原因はほぼ脳動脈瘤の破裂です。
 破裂後はかさぶたのように一時的出血が止まっていますが、刺激に伴い血圧が上昇すると再破裂のリスクを高めます。
 再破裂したらかなり致命的になりますので要注意
・これから起こること、治療について説明をして動揺を促さない
・刺激を伴う処置は降圧・鎮静が十分になってから行う
~下記は薬剤の使用についてなので医師の指示の下実施~
血圧コントロール 収縮期血圧120前後を目標に降圧します。
 ニカルジピンなどを持続投与し、血圧を下げましょう。
鎮静のためミダゾラムなどの持続投与を検討
嘔吐に対して制吐剤(メトクロプラミドなど)の使用を検討
頭蓋内圧亢進を考慮しグリセリンの使用を検討
 グリセリンを投与する場合、尿量がかなり多くなるので膀胱留置カテーテルを入れておく
脳保護のためにエダラボンの使用を検討
・感染症

髄膜炎と呼ばれる、髄膜に生じる感染症です。
原因としてはウイルスや細菌などが髄膜に感染して引き起こします。

症状の特徴として
「発熱」「項部硬直」「頭痛」
そして「意識障害」を伴うことが多いです。
「項部硬直」とは首が固くなって曲げられない状態を指します。
他の発熱を伴う疾患にはない特徴的な症状となります。

診断するために「腰椎穿刺」で髄液を採取して検査を行います。
検査項目で細胞数・タンパク質などが上昇していると髄膜炎の可能性が高まります。
他にも培養検査や遺伝子検査なども行うことが多いです。

・頭蓋内圧亢進

頭蓋内圧亢進とはなんらかの理由で頭蓋内の圧が上昇している状態を指します。
頭蓋内は基本的に髄液に満たされており、その中に脳がぷかぷかと浮いている状態になります。
髄液は還流しており、一定の量がIN-OUTしています。
頭蓋内は骨に囲われており、基本的に水分の逃げ場はないです。

しかし何らかの原因で髄液の容量が増え、頭蓋内の圧が上昇し、脳を圧迫してしまう状態を頭蓋内圧亢進という状態になります。

原因としては脳出血、水頭症、脳腫瘍などが挙げられます。

症状としては頭痛はもちろん、麻痺症状や意識障害を呈する場合もあります。

治療としては原因の除去、つまり手術を行う場合や脳室ドレナージやV-Pシャントといって髄液自体を外に逃がしてあげるような処置を行います。

・緑内障

緑内障とは眼圧の上昇に伴い、頭痛を引き起こします。
先ほどまでは脳疾患に関連していましたが、緑内障の専門科は眼科となります。

原因としては眼圧は房水の産生(毛様体)と排出(隅角経由)のバランスで決まり、これが崩れると緑内障が引き起こされます。

症状としては激しい頭痛、視野狭窄、放置すると失明に至る可能性があります。

治療としては眼圧下降点眼薬による薬物療法、レーザー治療や手術を要します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

頭痛には軽症から重症まで多くの疾患を疑い症状となります。
臨床で経験することの多い脳血管障害に関して重点的に解説させていただきました。
特にくも膜下出血は発症すると本当に急変しますので、
「頭痛をみたら、くも膜下出血を疑え!」を頭の隅にでも置いておくといいです。

実際に頭痛を訴える患者さんを目の前にしたとき、まずは

・バイタルサインのチェック
・他の症状の確認
・一次性頭痛か二次性頭痛かをアセスメント
・以上を医師へ報告
・必要に応じて検査・治療開始

そのような流れになると思います。

この記事がみなさんの看護師ライフにお役に立てればうれしいです。

今回は以上となります。
症状から読み解くシリーズとして引き続き更新していけたらと思います。

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